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ヒトナツ
【コメディ 恋愛小説】

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ヒトナツE-1

今日、俺は桜と別れた。


というか、フラれた。


第六話
夏の終わり



もちろん納得はいってない。
俺が何をした?
なんで俺があんなこと、言われなきゃいけなかったんだ?

本当に突然だった。
会いたいなんて言うから駅で待ち合わせたら、桜は静かに笑って言った。


“健吾さん、今までありがとうございました。これからも友達でいてください”


固まった。というか時間が止まった。

今日はどこ行こうとか、なにしようとか、ニヤニヤしながら考えてた俺には衝撃が強すぎたさ。

もちろん、黙って了承なんてできねーから、問い詰めてみたさ。

なんでだよって、俺じゃだめなのかって。

でも桜は表情を変えずに言った。

“健吾さんだから……”


「どういうことだよ!」


つい声に出してしまった。
まあ部屋だからいいんだけど。

「……あんた、二十分以上ブツブツ言ってたわよ」
「マジで?っておい!」
またも渚は部屋に侵入してきた。
って二十分前からいたのか?

「渚!お前なら!事情を知ってるだろ!?」
「知ってたらどうするの?」
「……!頼む!おしえてくれ!」
ベッドから飛び起きて肩をつかむ。
「……じゃあ」
「……じゃあ?」
「キスしてくれたらおしえるわ」
「キッ!?はあ!?」

平然と言ってのける渚。
お前までどうしたんだよ!

「……」
肩をつかんでいた手をゆっくりと放す。
「……あたしは知らないわ」
「……」
ついはっとした顔で渚を見つめてしまった。
「でも、桜にもきっと理由があるのよ」
「そんなの認めねーよ」
「……あんたも子どもじゃないんだから、だだこねてどうするのよ」
なんか渚が冷たい。
「……気持ちはわかるけど、桜をこれ以上傷つけたくないなら諦めなさいね」
そう言って渚は部屋を出ていった。
「……」

渚と桜が遊ばなくなったことと関係があるのか?

あーわかんねえ。

友達でいてくださいって……

こんな状態で友達として付き合えるのか桜は。

俺は無理だよ。


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