投稿小説が全て無料で読める書けるPiPi's World

秋と春か夏か冬
【学園物 恋愛小説】

秋と春か夏か冬の最初へ 秋と春か夏か冬 112 秋と春か夏か冬 114 秋と春か夏か冬の最後へ

秋と春か夏か冬〜16話『みんなでお泊まり温泉旅行・前編』〜-3

「もしかして…シュウが作ったのか?」

「〜〜…あぁそうだ!悪いか!アキが手伝ってって言うから…し、仕方なく作ったんだ」

何ギレかわからないが、怒り狂っている愁。そしてやれやれ、と言った顔をして亜季が口を挟んだ。

「恭介様…シュウちゃんは普段は料理なんかやらないのに、今日は自分から作りたいって言ってきたんです♪誰かさんに食べてもらいみたいで…」

「ち、ちがぁーう!!断じて言ってない!これは…その……そうだ、自分のために作ったの!返せ!俺が全部食べるんだ!」

そう言って取り上げようするが、恭介は簡単に避けてオニギリ(?)を1つ食べた。

「ぁっ…」

もぐもぐ……ごくん。

「うん…おいしいよ。形は明らかに変だけど……腹に入ればどれも一緒だ。初めてでこれなら、おまえ料理の才能あるかもな」

「…ほ、ホントに?」

「あぁ。自分で食べるために作ったやつらしいけど……俺はまだまだ腹が減っててな、もう少し食べちゃダメか?」

恭介が聞くと視線に困った愁は肘をつき、窓の外を向いてしまう。そして小さい声でボソボソっと呟いた。

「ぅ…しょぅがなぃな、俺のぶんも食べて良いぞ。そ、そのかわり……の、残さず…全部だからな」

「あぁ」

そっぽを向いていたため恭介は知らないが、愁の顔は少しだけ赤く染まっていた。

「くすくす♪」

そして恭介と愁のやりとりを微笑みながら見ている亜季だった。



「ごちそうさん。ふぅ〜満腹満腹」

弁当を全部食べ終えると、亜季が聞いてくる。

「恭介様♪どちらの方がおいしかったですか?」

……。

「いや、両方とも同じくらい…」

「お選びになるとしたら?」

…………。

普段は聖母のような亜季の優しい笑顔。だが今はその笑顔がなぜか怖い。

「………」

沈黙……。そして恭介が選んだ答えは…


秋と春か夏か冬の最初へ 秋と春か夏か冬 112 秋と春か夏か冬 114 秋と春か夏か冬の最後へ

名前変換フォーム

変換前の名前変換後の名前