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学園の社長〜社長の連盟騒動〜
【ミステリー その他小説】

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学園の社長〜社長の連盟騒動〜-15

「おい、なんとかして海の上に出られないのかよ。せめてここがどこなのか知りたいぜ」
「現状では手の打ちようがない」
「そうだ! この潜水艦にはボートがあっただろ。ホラ、あの球体の乗り物だ。あれにのって浮上できないのか」
「無理だな。ボートはワイヤーにつながれている。ワイヤーの長さは限られているし、切断することもできない」
「…終わった」
 この瞬間に俺の人生は決まった。どこだかも知れない海深くの場所で食糧不足の腹ぺこで死ぬか、酸素切れの呼吸困難で死ぬかの二択だ。どちらにせよもう地上にはもどれない。
「まあ落ち着いてくれ。まだ時間がある。猶予がある。幸いこの潜水艦には十分な食料と酸素が積んである。じっくりとここから脱出する方法を考えることができる」
「あ、あぁ」
 俺は無表情でうなずいた。確かに錦田のいう通りだ。もしかしたらまだ潜水艦が動く可能性があるかもしれないし、脱出する方法があるかもしれない。はたまた山崎がこちらに気づいて助けにきてくれるかもしれない。この海底の牢獄から生還するシナリオはまだあるのだ。
「じゃあちょっと俺、どのくらいの食料があるか見に行ってくるよ」
「ああ、任せた。私も酸素ポンプを見に行ってくる」
 俺と錦田は操縦室を出て、長い廊下を渡り、一番奥のポンプ室には錦田が、そしてその手前の食料が保管されている部屋の扉を俺は開けた。
 そこにはいくつかの段ボール箱が積んであった。俺はそれに飛びつき、中を開く。段ボール箱の中はボトルの水が敷き詰めてあった。水だけじゃないだろうと、俺は他の段ボール箱にも手を伸ばした。二つ目の箱にはご飯らしき食料が入っている。五目ごはん、白米、お粥と三種類のご飯類が詰めてある。中に入ってい る袋入りの粉末と水を入れるとできる仕組みになっているのだ。
 さっそくペットボトルの栓を開け、五目ごはんの袋に水をそそぎ、粉末を入れて蓋のチャックを閉める。十分たったところで再び袋を開いたところ、うまそうな匂いとともにふっくらとした五目ごはんが出来上がる。俺は付属のスプーンでそれをすくって口に運んだ。うまい。非常食なのに普段食べてもいいほどの味だ った。そのとき、部屋の扉が開いて、錦田が姿を見せた。
「なんだ君は。もう食料に手をつけているのか」
「珍しいものがあったんでな。つい…」
 それにもう夜遅い。夕食を食べていない俺としては空腹で仕方がなかったのだ。俺は五目ごはんをあっという間にたいらげると、再び食料を調べる作業に取り掛かった。
「水で作れる飯類か。これはずいぶん前からある非常食だよ。最近のは水を入れてから出来上がる時間も短縮されている。それよりもいまは」
 錦田が他の箱を調べる。魚介類、肉類の缶詰や、水を使うことでできる乾燥シチュー、非常用のビスケットなどなど、そして最後の三つのダンボールにはすべてペットボトルの水がさっきと同じように入っていた。
「食料は十分にあるな。これでしばらくはなんとかなりそうだ」
 錦田がビスケットの袋を箱に戻しながらいった。
「酸素ポンプのほうはどうだったんだよ。まだありそうか? 食料はなくても何日かは生き延びられるが、酸素がなくちゃすぐあの世にいけるからな」
「ああ、酸素のほうも十分な量があったよ。それにこっちには心強い味方がいる」
 錦田は部屋の外に出た。そして、電気ストーブぐらいのサイズの円柱型の機器を持ってきた。これは見覚えがある。
「最初潜水艦に来たときに見せただろう。山崎船長に頼まれて持ってきた機器だ。これでかなりの量の酸素を作ることができる。材料もちゃんとあるしね」
「これほんとに動くのかよ。途中で故障したりしないだろうな」
「大丈夫だ。これは快適に動くことが実証済みだ。これを取り寄せるのに何日かかったことやら。それをあの船長は口実に使ったんだからな」
「船長か…」
 船長が助けに来てくれる確立はどのくらいだろうか。まさか知り合いを見捨てたりすることはないだろうが。
 その時、艦の中に警報のような音が何度も響いた。


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