憧-1
この手で掴みたいモノがある。
傍に行き、この手で触れたいモノが。
でも、どんなに頑張っても近寄れない。
背伸びしても手を伸ばしても、かすりもしない。
本物が手に入らないならば偽物でもいい。
そう思ってつかまえた。
そう思ったはずだった。
はずだったのに…
どうして、こんなに淋しいのだろう。
なんで、こんなに苦しいんだろう。
なぜ…こんなに虚しい気持ちになるんだろう。
空洞になった心のなかで、何かが、哭く。
これではいけないと思うのに、手放すことができない。
放してしまったら、もう二度と、掴めないかもしれない
そんな不安に縛られる。
傍にいればいつか本物に触れられるかもしれない
そんな淡い期待に溺れる。
近寄りたい
触れたい
掴みたい
キミの、気持ち。