冷たい情愛(番外編)唯一の恋人へ-2
それから、この生徒は週に3〜4回放課後この部屋に来るようになった。
最初は「もしや若い教師に憧れるってやつか?」とも思ったが、それは俺の恥ずかしい勘違いだったようだ。
「お前、週の半分ここに来てちゃ遊べないだろ」
「他の曜日は山本先生のところか、化学の植草先生のところに行ってるんです」
こいつ…1年のうちから毎日勉強してるのか…。
かといってガリ勉という訳でもなさそうで…
休み時間、校庭を見てみると…
ぶかぶかのジャージを着て、友人たちと楽しそうに遊ぶ姿を見かけた。
飲み込みの早いこの生徒は、すぐに頭角を現し…
模擬テストの偏差値も一気に上昇していった。
そして…それに比例し…
俺も、この生徒と過ごす時間が生活の一部となっていった。
・・・・・・・・・
「なあ…1-5の設楽って、お前のとこにも行ってるのか?」
俺は同期であり友人となった山本に尋ねてみた。
「ああ…週に1〜2度な」
「そうなのかあ…」
俺は、なんだかイラっとした。
俺のところだけじゃないのかあ…と。
(やきもちやいてるみたいじゃねえかよ…)
そう思った瞬間、山本は俺に一言投げてきた。
「?もしかしてお前…設楽に惚れた…とか?」
立場上すぐさま否定しなければと思ったが…俺はそうすることが出来なかった。
そうか…このイラつきは…「嫉妬」ってやつだったのか…
「ほら、次授業あるんだろ?早くいかね〜とまずいだろ」
山本はニヤニヤしながら、俺の顔を見て言った。
俺はふてくされたまま、教科書を持ち教室へ向かう。