タイミング-5
七月
季節は瞬きする間もなく過ぎてゆき、気がつけば私と宮川君が知り合って一年が経っていた。
あれから宮川君と智美は付き合いだして、今も続いている。
私は宮川君を久司と呼ぶようになった。
これは終わった証拠。
私の中で完全に彼は友達になった。
きっとこの先、智美と別れても期待することはないだろう‥‥。
九月
受験生の私は今日が最後のバイト。推薦が受かったら冬にまた始めるつもり。
「ゆずは推薦?」
「そうだよ。」
最後のバイトは久司と同じ日にした。
未練がある訳じゃない。
見納め。
「じゃあ受かったら戻るでしょ?」
「うん。」
「よかった。バイト復帰して知らない人ばっかだったらやだし。」
「その前に復帰出来なかったりして。」
「縁起悪いこと言うなよ」
ほら、大丈夫‥‥‥
冬になって、また会ってもきっと私はあなたにときめくことはないでしょう。
ありがとう。
あなたのおかげで学んだことがたくさんあるの。
もう、迷わない。
タイミングは逃さない。
四月からの新たな出会いに期待して、私は前を向くんだ。
さよなら。
私の恋心‥‥。
-fin-