タイミング-2
十月
「柚月のバイト先って今バイト募集してない?」
「してるんじゃないかな。人いないって店長言ってし。可奈もバイトするの?」
「うん。したいんだけど柚月さぁ、店長に聞いてみてくれない?」
「わかったよ。」
それから可奈もバイトするようになった。
可奈とは一年のときに同じクラスだったけど、そこまで仲良くなかった。
でもよく笑う楽しい子で一緒にいて本当に私まで元気になる。
なんでこの時に気付かなかったんだろう‥‥。
事務所の机に書いてあった相合い傘。
並ぶ名前に言葉を失う。
あぁ‥‥‥。
ダメだなぁ‥。
修学旅行のお土産は渡せないや‥‥。
引き出しの奥に閉まって‥
この想いにも鍵をかけてしまおう‥。
一月
「可奈、別れたんだって」
やっと忘れかけたのに、一気に心に沸き上がる歓声。
今度こそ‥‥?
でも‥‥
「佐山が柚月のアドレス教えてって。」
「えっ?」
「てか、もう教えちゃったから。」
裕子のそういう強引なところには振り回される。
佐山君はバスケ部で背も高くて、優しいけど少し頼りないかな‥。オシャレってほどでもない‥‥
ははっ‥‥。
私、何比べてるんだろう。
最低だ。