難読語三兄妹恋愛暴露~次女Ver.~-9
「でもお前に会ってお前が秀高に行くって聞いて、ダセェけどお前がいるならオレも行きてぇと思った」
琢磨のはにかんだ笑顔がだんだんと夕日に照らされてゆく。
日和の鼓動もトクントクンとリズミカルに鳴った。
「…ごめん、琢磨」
ゆっくり日和は口を開いた。
「あんなひどい事言って」
めずらしくシュンとしている日和の頭に琢磨はそっと手を乗せた。そして、ポンポンと優しく撫でた。
「気にすんな。…ありがとな」
人の手がこんなに心地好いものだとは思わなかった。自然と笑みがこぼれる。
「なぁ日和!」
日和は目を大きくして琢磨を見つめた。
「春なったら一緒高校行こうぜ!」
琢磨が楽しそうにニッと笑った。
少し間を空けて、日和はにっこり微笑むと夕日と同じくらい顔を赤くさせ、こくんと大きく頷いた。
そして、待ちに待った春がやってきた。
「ほーっ、長閑も今日から大学生か!まさか、あんたが進学するとは思ってなかったよ」
「詩歌が驚くのは分かる。でも一番びっくりしてんのはアタシ自身なんだから!すんげぇ頑張ってポチと同じ短大受かったんだもん。ねーポチ!一緒に毎日学校行こうねっ」
「え?いや、あの」
「あ、日和。玄人は?」
「まだ家」
「まじで?」
「あっ、ちょっと日和!アホ来たよアホ」
「ひ〜よ〜り〜!!」
「!」
「…ッギャッハハハハハ!頭何それ!?」
「笑うな破壊神!野球部はボーズが基本なのだ!」
「そうだよ、長閑ちゃん。失礼だよ。ところで、さっきの続きなんだけど」
「わりぃ遅れた!うわっ、琢磨ボーズじゃん」
「玄人ニィまでその反応かよ…もういいよ、オレ入学式でねーよ」
「…私は、それが一番似合うと思う」