難読語三兄妹恋愛暴露~次女Ver.~-3
「あっ…い、イタタ…」
日和は両手でこめかみを押さえた。
「ど、どうしたの日和ちゃん!大丈夫…?」
心配そうに覗き込む朝香。
「ちょっと、朝から頭痛くて…私保健室に行くね…」
日和は苦しそうに顔を歪めた。
「あ、うん…。じゃああたしは先生に言っとくよ!気を付けてね、ゆっくり休んでね!」
「ありがとう、よろしくね」
「うん、それじゃあ後でね」
朝香はロッカーから体操着を取り出すと早足で教室を出ていった。
誰もいなくなった教室に日和は授業開始のチャイムを聞いた。それがこいつにとっての合図。
日和はテキパキと帰り支度をして職員室に向かう。
「あら、どうしたの?」
日和の担任の先生が首を傾げた。
「ちょっと朝から具合が悪くて…立ってるのもやっとなんです…」
虚ろな瞳の日和。
「いいわよ、早退しなさい。宇奈月さんは体弱いんだから、気を付けてね」
「あ、はい。すみません…失礼します…」
「明日は元気に学校に来るのよ!」
そんな先生に一礼して日和は職員室を出ていった。
下駄箱に向かう廊下で日和は
「ちょろいちょろい」
と呟いた。
さて、日和がある場所に向かう間、少し話させて欲しい。
ハッキリ言うが日和はどちらかと言えば健康な方だ。健康な方どころかここ数年風邪すら引いていない。
しかし日和の肌は蝋燭のように青白く、下手したら枝と見間違えるほど華奢な体付きだ。それをいいことに、日和は中学生活の三年間で早退や仮病を繰り返し、周りに病弱だというイメージを植え付けた。
そのくせ、勉強は出来るときたものだから先生も何も言えなかった。
「やっぱ寒…」
日和が向かった場所は学校から少し離れたところにある河川敷。ここに日和はよくサボりに来ていた。
さらさらと流れる川辺に腰を下ろす。
暖かくなると鯉などの魚なんかも泳いだりしている川だが、何せ今は冬。
だけど冬の川は生き物はいないにしろ、どこまでも透き通っていて、日の光が反射するときらきら輝いて綺麗だった。
「綺麗…」
日和がポソッと呟いた時だった。