難読語三兄妹恋愛暴露~次女Ver.~-2
「日和ちゃんて秀高から推薦来たんでしょ?」
この子は日和曰く、取り合えずの友達。確か名前を『朝香』っていったかな。
「うん、一応ね。朝香ちゃん秀高受けるんだったよね?」
今は昼休み。
日和の席にタカタカと朝香が走ってきて一緒にお喋りをしているところだ。
「まぁ、ね。でもすっごい不安なの…いいな〜、日和ちゃんは」
朝香は本当に不安なのか眉をしかめて、両手で顔を覆った。
「朝香ちゃんならきっと大丈夫!」
日和はニッと白い歯を見せて笑った。
「一緒に秀高行こうよっ!」
「日和ちゃん…うん!そうだね!あたし頑張るねっ!!」
ガッツポーズをする朝香は何て純粋なんだろう。俺にはその日和の笑顔すら嘘に思えるのに。
昔から日和は人を見下す癖があるようで、俺にすら今だに例の体質のことで脅迫してくるのだ。例えば
「玄人、今すぐチョコとクッキーとプリン買ってきて」
「は?何でだ、自分で行けよ」
俺がこうやって否定すると日和は
「じゃ、私これ今すぐ窓からバラ撒くから」
と、葉書くらいの薄い紙を俺に手渡した。
それを見た俺は瞬時に玄関を飛び出した。
なぜならその紙には
『宇奈月玄人は女性に対し変な性癖を持っています。
近付くのは止めましょう。
みんなで守ろう、僕達の街!』
と赤字で書かれていたからだ。
なんだこりゃ!俺は変質者扱いか!
こんなもの撒かれたら俺はこの街にいられなくなっちまう。だから俺は、直ぐ様コンビニへ走った。
日和の場合、全てが本気だから質が悪いのだ。
もしあの時、俺がコンビニに走らなかったら確実に撒き散らしていた。現に日和の手には同じ大きさの紙の束が握られていたし…。
よし、話を戻そう。日和という人間がどういう奴かみなさんも分かってきただろう。
「あ、次体育だったね」
朝香が時計を気にしながら言った。
「着替えなきゃだから早めに行かないとね!」
朝香の笑顔に対して、日和の顔は引きつっていた。それどころか頬の辺りがピクピク痙攣している。