赤い靴-3
「サチ、何か奢ってやるよ」
「えっ」
「いーから。何か奢りたくなったの。アイスとかケーキとか食う?」
「…じゃあプリンで」
「色気ねぇ奴」
口は悪いけど、これはナオの慰めなんだなって思った。それに、そんな優しさに感謝もした。
私は赤い靴の履けるシンデレラじゃなかったけど、大丈夫。また頑張れる。
──月曜日。
「山本先生」
「んー、何だ」
私は先生の耳元まで背伸びして囁く。
「昨日はありがとね」
どうしても言いたかった、昨日言えなかったありがとう。