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赤い靴
【青春 恋愛小説】

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赤い靴-2

今までいくつも店をまわった。けれど、小さい頃憧れた、あの赤い靴はどこにも無かった。

今回も見つからなかったら諦める。

そう心に決めて、わざわざ隣町のこの店にまで来たのだ。

絶対見つけてやる。

そんな闘志を胸に足を運んだ。
1階の案内板で確認して3階へ向かう。
そして奥の方にあった靴屋へ行く。

そこは結構大きな靴屋で、デパート内にある靴屋の中では1番広かった。

そこには

「…あった」

ぴかぴかに磨かれた、赤い靴。小さなリボンも当時見たものと全く同じ。

値札を見てみる。

それはどこかのブランドの靴だったようで、『29800』と書いてあった。

大丈夫。余裕で買える。

そう思うと思わず頬がゆるむ。



しかし、私は気づいてしまった。



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─────




「おーい、サチ。靴見つかったんか?お前いつまで経っても来ないからわざわざ探しに来てやったんだぞ」

…ナオの声が聞こえる。足音がこっちに近付いて来た。

「おっ、赤い靴じゃん。…これじゃねーの?」

「…ううん、これ」

「じゃ買わねーの?」

「…これ、子供用だったの…」



赤い靴はあった。
確かに小さい頃に欲しかったものだ。
小さい頃に。

あの頃の私は5つくらいで、今は16。
もうじき17になる私の足では子供用の靴はあまりにも小さすぎて。
「せっかくお金貯めたのに、わざわざナオにも、連れてきてもらった、のに」

なぜかは分からないけど涙が出てくる。

「ちっちゃい、頃からずっと、ずっと欲しかったのに」

あぁ、嫌だ。止まらない。

「欲しかった、のに」

ナオはただ黙って聞いていた。小さい頃のように泣きじゃくる私の呟きに対して何も言わずに。



大分落ち着いた後、店の中で泣いていたので恥ずかしさからその場を去った。


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