白ぃ華が咲き乱れる頃〜love letter〜-1
よく目が合うなぁ。
初めはそれだけだった。
危なっかしいなぁ。
これは2番目の印象。
何か可愛いなぁ。
これは3番目。
ほっとけないなぁ。
これはその後の印象。
そしていつのまにか、
『俺が守ってあげたい』
って思うようになってた。
そんなあの子と目が合う度、自然と微笑んでる俺がいた。
俺は男ばっかの工業高校に居る所為か、なぜか知らんが軽い男に見られる。
顔はまぁ、残念ながらさわやか系では無い。
身長も180以上ある所為か、恐いと思われがちだ。(まぁ、身長の所為だけでは無いと思うが…)
そんな俺が、女の子と目が合うだけで笑みが出るなんて、やっぱりまだ?純情ボーイなワケだな。
―まだ俺は、これから起こる、とても悲しくて辛く歯痒い物語を知らなかった…
「おはよう、涼輔クン☆」
『おはよ』
電車の扉が開くと、俺の彼女が笑顔で挨拶してきてくれた。
初めての朝の挨拶。
そう、俺はその子、蘭に告って、付き合う事になったのだ。
告った時彼女はスゴク困ってて、今にも泣きだしそうだったから、振られるの覚悟してたのに…。
何にせよ、付き合えるようになってマジ幸せ気分な俺。
内心ドキ?しながら朝の挨拶を交わす。
「ふ〜ん。これが例の涼輔クン」
(ん??誰だこの女の子)
「ちょっとのぞみ!これとは何よぉ」
どーやら蘭の友達らしいが…てか腕組みしてるし。
「ん〜、べっつにぃ〜」
『あの…』
(何なんだコイツは)
引きつり気味の俺。
すると蘭が割って入って、「もぅっ、のぞみ!ごめんね涼輔クン、この子あたしの友達で、のぞみって言うの。涼輔クンの事話したら、どーしても会いたいって…」
「よろしく」
『よ、よろしく』
(この人、無表情なんですケド)
そんな雰囲気が分からないらしい蘭は、女の子らしく今日の運勢の話を始めた。
どーやら俺は、今日は絶好調らしい。
てかずっとのぞみサンに睨まれてるんだケド…。
「今日はね、人から認めてもらえる日なんだっ…キャッ」
ガタンッ
突然大きく電車が揺れると、蘭はよたりそうになった。だけど俺は、その前に彼女の肩を抱いて、それを防いだ。
いつも彼女を見ていたから、よくよたる事とか、よくつまずく事とか、俺は知っている。
『平気??』
蘭の顔を覗き込むように尋ねた。すると蘭の顔は赤くなってゆく。
「うん、大丈夫。ありがとう」
照れているみたいだ。可愛い。
そんな幸せ気分に浸っていると、のぞみサンが相変わらず俺を睨んでる。
のぞみサンを支えなかった事怒ってんのか!?イヤ、でも普通は彼女優先だろう!?
そんな感じであたふたしてると、
「ふ〜ん…一応合格」
ってボソッと言われた…ような気がした。