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光の風
【ファンタジー 恋愛小説】

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光の風 〈風神篇〉前編-13

少し離れて気遣いながらセーラに扮したままのレプリカが付いていた。裸足で薄着のままのリュナの為に上着と靴を抱えている。

リュナの雰囲気は何か違っていた。長い髪を揺らしふらふらと歩きつづけ、口元は何かを囁いているのか小さく動いていた。

その言葉をレプリカは知っている。目が覚めてから、まるで標を求めるように繰り返し呟く言葉。

「行かなきゃ…。」

リュナから小さな金属音がする。しばらくするとそれが外れたのか、床に落ちた音が響いた。足を進める先でレプリカがそれを拾う。

それはいつも身に付けていた、ジンロから貰ったお守りだった。首飾りのチェーンを二重にして手首に巻いて大切にしていた。

ここ最近の体調不良と食欲不振で痩せてしまったのだろう。彼女の手から離れ落ちた。

「リュナ様。」

心配な声を遠くから囁く。レプリカはお守りをしっかり握りしめて再びリュナの姿を追う。

標を求め続ける声。

「傍に行かなきゃ…助けなきゃ。」

囁く声はまるで呪文のように繰り返される。前より痩せて小さくなったリュナは救いを求める子供みたいだった。

長い髪ややわらかな生地の服が風に舞う。彼女が起こしている風に舞う。


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