我が校-2
教室ではもう泣き崩れる人も少なく、誰もが普通に一言二言別れの挨拶を交わしている。いつもの放課後のように。
いつものようでも、これで最後なのだなと思うと、少し鼻が痛かった。
美しい、普通の卒業式に私は満足していた。
教室を出、靴に履きかえて我が校の門に向かう。
校門を通過した――瞬間であった。
「あ…」
急に鼻の奥が痛み、目から涙が一粒落ちた。
ぽたり、と。
しかし私が流した涙はその一粒。後にはいくら待っても何も出なかった。
「…ふふっ、何よそれ…」
私はきっと、きちんと別れを告げられたのだ。
目を真っ赤にしたわけではないし、ティッシュを大量消費もしてないけど。
私は、これでいい。
ちゃんと言えた。
ありがとうございました。我が校よ。