投稿小説が全て無料で読める書けるPiPi's World

やっぱすっきゃねん!
【スポーツ その他小説】

やっぱすっきゃねん!の最初へ やっぱすっきゃねん! 128 やっぱすっきゃねん! 130 やっぱすっきゃねん!の最後へ

やっぱすっきゃねん!U…D-2

円陣の周りで1、2年生達は静かに聞いていたが、

「…カヨ…オマエ……」

山下達也は佳代を見て目を見開いた。泣いていたのだ。

「…エヘヘ……」

笑顔を作って涙を拭う佳代。
達也は心配気な表情で、

「どうしたんだ?」

「何だか…胸が詰まって。最後の試合で…羨ましいなって……」

そう言って顔を拭くが、涙は後から後から溢れて来る。

「…まったく……」

達也は呆れ顔でため息を吐くと、自身のバックからタオルを取り出し、俯く佳代の頭に被せた。

「それ使え…」

達也はそれきり何も言わない。
佳代も〈ありがと〉と言ったきり、しばらく涙を拭っていた。




*****

球場入り10分前。〈応援団〉は、先にスタンドへと向かった。テントには、選手達と永井だけとなった。

すると、

「お疲れさまで〜す!」

カン高い女の子の声がテントに掛かる。選手達が声の方を向いた。そこには、尚美と有理を連れた藤野一哉の姿があった。

「コーチ!来てくれたんですか」

永井が笑顔で出迎える。

「いよいよですね!監督」

一哉も笑みを湛えて永井に近寄り、帽子を取って頭を下げた。

「ひとつ、選手達に喝を入れてもらえますか」

永井の頼みを、一哉はふたつ返事で引き受け選手の前に立つと、

「整列!」

選手達は、ズラリと横に並んで姿勢を正した。
日頃の鬼コーチぶりが伺える。

一哉は、日頃とは違う丁寧な口調で語り掛けた。

「君達にとって、中学最後の試合を迎えた。それも、決勝という最高の舞台だ……。
これを体験できるのは、日本中でもわずかな数しかいない……」

一哉は語り掛けながら、選手ひとり々の顔を見つめて行く。

「…さらに勝ち残るのはその半分だ。だったら…意地でも奪い取ってこい!」

一哉は帽子を取り、選手達に深く頭を下げた。

「整列!」

キャプテン信也が号令を掛ける。


やっぱすっきゃねん!の最初へ やっぱすっきゃねん! 128 やっぱすっきゃねん! 130 やっぱすっきゃねん!の最後へ

名前変換フォーム

変換前の名前変換後の名前