ヒトナツD-4
「……わたし、健吾さんと別れます」
「はあ?」
桜……なにを言ってるの?
「だから……ずっと三人で仲良くいさせてください」
「桜……本気なの?」
「今、わたしは幸せなんです!健吾さんと渚さんに会えて、わたしの居場所が見つかったから!」
「でも!」
「ずっと三人で一緒にいたいんです……」
桜も泣きそうだ。
そのとき…
あたしは……
静かに頷いた。
蝉の音は、もう鳴っていなかった。