壊れた日常-2
「お前がここでラムネ飲んでるくらいなんだ。きっと夢を見たみたいに、すぐに終わるさ」
多分、そうだと信じたい。いや、そうなる。
「……だよね」
「あぁ、それとも殴り込みでもかけに行くか」
「どうやって?」
「泳いで」
僕の即答具合が面白かったんだろうか。彼女は軽く吹き出して、行こうと言った。
「明人。駐車場あったよ」
彼女の言う通り、駐車場が姿を現す。
荷物を降ろそうと車を降りた瞬間、轟音が耳をつんざく。外を見ると、戦闘機らしき編隊が空に吸い込まれていった。
不安がよぎる。まさか……。
彼女を見ると、やはりその顔には不安の色が広がっていた。
僕に出来ることと言えば、せめてこの日常を演じ続けるだけだ。
「有希」
「なに?」
「今の戦闘機に追い付くぞ!」
「……了解!」
彼女との寸劇が、心を軽くさせてくれる。彼女は先に浜辺へ続く階段を下っていった。
僕も荷物を持って彼女を追いかけた。
道路脇にある古臭い店からラジオが聞こえてきたが、気にもならなかった。
そうだよ、もうすぐ全部終わるさ。
僕も階段を下った。
《…軍は……に……総攻撃……始………ました》
透き通るような青の下、僕たちの日常は壊れた。