投稿小説が全て無料で読める書けるPiPi's World

割れた卵
【悲恋 恋愛小説】

割れた卵の最初へ 割れた卵 1 割れた卵 3 割れた卵の最後へ

割れた卵-2

『なに?』





行くな。




その一言がどうしても言えなくて、ただ僕はもう一度うつむく。

発車のベルが鳴り響く。

ドアが閉まって、彼女の顔しか見えなくなる。


「……じゃあな」


きっと聞こえてはいないだろう。それでも、何かを言いたかった。

彼女は口の動きでわかったのか軽く頷いて見せる。その瞬間に、彼女の顔は横へと流れていった。




卵の殻が破れ、僕らの世界は終わりを告げた。

事実をまだ認めていない自分に笑ってしまう。だけど、視界はぐちゃぐちゃだった。

僕らの卵は壊れてしまった。


「……くっ…ぐ……」

僕らは雛になれなかった。


割れた卵の最初へ 割れた卵 1 割れた卵 3 割れた卵の最後へ

名前変換フォーム

変換前の名前変換後の名前