White night-2
「もう関係ないけど」
独り言を呟いた後、煙草の火を消し、仕事へ戻った。
まだお昼すぎだというのに、何だかひどく疲れた気分だった。
「お先〜」
「お疲れ様です」
室内には私一人となった。
みんな恋人と待ち合わせなのか、早く帰って行ったからだ。
ひどく疲れた気分も、一人になると少し楽になった。
「ん〜〜」
椅子の背もたれに寄りかかり、私は体を伸ばした。
私はまた煙草を取り出した。
誰もいないときは密かにそのまま室内で吸っている。
「お疲れ様です」
誰もいないはずの室内に聞こえた突然の声に、私は慌てて煙草の火を消した。
「…なんだ、紺野か」
声の主が後輩の紺野だと確認した私はほっと息をついた。
「まだ帰らないんですか?」
「もうちょっとだけね」
「そうですか」
「紺野は?」
「忘れ物を取りに」
「そう」
椅子を回転させ、紺野に背を向ける。
ひどく疲れた日は一人の空間を邪魔されたくない。
すると、紺野は後ろから私の好きな香りを差し出してきた。