第3会議室…3-5
「聞きたい?」
「き、聞きたいですっ…」
「内緒ね?」
そう言いながら、自分の唇に人差し指を添えてウィンクする。
「真鍋よ、真鍋隆(まなべたかし)。
確か、星野と同い年だったような気がするけど」
「ええっ?そうなんですか?!」
真鍋君って言ったら何だか頼りなさそうな人の代名詞!
そんな人が松本さんと付き合ってるの?!
「星野、びっくりしすぎよ。
まあ、真鍋は頼りないイメージみんな持ってるからね。
でも真鍋はすごく優しいし、あたしのことを好きでいてくれる。
あたしも真鍋が好き。
真鍋、あんなに頼りないけどセックスに関しては相性ばっちりよ。
あ、ごめんなさい…ちょっと言い過ぎたわ」
多分、松本さんが気にしたのは「セックス」という言葉だ。
あれ?何でだろう…
あたし、泣いてるの?
「ご、ごめんなさい、言うつもりじゃなかったの」
あたしは両手で顔を覆う。
性欲を満たすためだけのセックス。
松本さんと、真鍋君みたいなセックスじゃない。
相性なんて、なくて。
ただ、部長はあたしの体を器代わりにしてる。
「気にしないで下さい…
あたし…を犯した人は…あたしの好きな人なんです…
あたし、ずっと片思いしてました。
でも、その人には彼女がいるらしくて。
誰とも恋愛の話なんてできなかった。
したくても、できなくて…」
「それ以上言わなくていいわ…大丈夫だから」
松本さんは立ち上がって、あたしを抱きしめてくれた。
こうやって、部長にも抱きしめて欲しかった。
何で、ミスなんてしてしまったんだろう。
ミスなんてしなければ、多分この恋は誰にも言わずに終わっていたのに。
責任を取れという名目であたしを犯した部長。
もう…何も考えたくない…
「松本さん…」
「何…?」
あたしの頭を撫でながら、松本さんはそう聞いてきた。
「あたしのことは…抱いてくれないんですか…?」
あたしは松本さんを見上げて、見つめる。
今夜だけでいい。
別の誰かに溺れたい。
そう思っちゃだめですか…?
「星野…」
…あたしは、松本さんを心配そうな顔にさせてしまったことを後悔した。
だけど、松本さんは返事の代わりにあたしの唇にキスをする。
そのままあたしは、松本さんにベッドに押し倒された…