秋と春か夏か冬 13話〜『痴漢男』〜-2
「こ…困ります…」
「良いじゃん♪少し話すくらいさぁ」
どうやら少女がナンパされているようだ。
正義感はないが…見てしまった以上、黙認するわけにはいかない。
「ごめん待った?悪いな。こいつ、俺の彼女だからナンパはお断りなんだ」
そう言って少女の手をとり、割って入る。
「あぁ…なんだテメェは!」
やっぱり、このままさよならってわけには…いかないか…。
「まぁ彼女ってのは冗談だけど、困っている人はほっとけないんだ……ヒーローなんでね♪」
冗談っぽく言う。
すると4人組の1人がいきなりわめく。
「あっ!こいつ…前にも俺たちがナンパしてる時に邪魔した男だ!!!!」
………あぁ、思い出した。美雪をナンパしてた4人組だ………。
「あの時のか…その節はどうも。どうする?またやられたい?」
笑顔で言う恭介。
「メチャ強ぇくせに…や、やるわけねーだろ!す…すいませんでした〜〜」
逃げていく4人組……少しは懲りたかな?
俺は少女の方を振り返り、話しかける。
「大丈夫か?」
「ええ♪突然話しかけられて……困っていたんです……ありがとうございました」
ペコリとお礼をする少女……なるほど、ナンパされるのも納得である。
とても可愛らしくて清楚な子。全身から守ってあげたいようなオーラが出ている。
「別にお礼を言うほどじゃないさ……じゃぁ俺は行くから。変な男には気を付けろよ」
「…はい♪それでわ」
そう言って少女のもとを離れていく恭介。
(えっと…つぎは化粧品か…そもそも俺に頼むもんじゃないだろ……)
恭介は不満を持ちつつも化粧品コーナーに入る。
長居はしたくない場所なので、素早く頼まれた品を探し会計を済ます。
(ハァ…店員さんに笑われてるよ…)
早くこの場を離れたかったので小走りで進む。