罪〜Revision〜-9
夏の名残を残しながら、季節は秋へと向う。あれほど騒がしかったセミの声もいつしか消え失せ、夕暮れからの虫の声が心地よく聞こえる。
そんな最中。
「亜紀、和哉。お父さん達は明日から2日間、家を空けるから」
父方の祖父が危篤らしい。以前から体調を崩して入院していた祖父だが、肺炎を併発したと姉弟は聞かされた。
「大丈夫よ。お母さん。2日間位なら和哉とやっとくから」
母親は心配気に、
「でも、あなた達、部活に塾が…」
和哉はにっこり笑うと母親に、
「緊急だから仕方ないよ。2日間位、どぅって事無いさ」
「そうか。和哉もいつの間にか大人になったな」
父親はそう言うと、和哉の頭にポンと手を置いた。
その日の夜、夕食を終えると両親はクルマで3時間は掛かる祖父の病院へと向かった。
ー翌日ー
姉弟はお互いの部活と塾に2日間休む事を告げた。
久しぶりに姉弟一緒に帰る。亜紀は嬉しそうに、
「和哉、夕食何食べたい?」
和哉は腕組みをして思案する。
「んーっ…!姉ちゃんハンバーグ出来る?」
亜紀は胸をポンッと叩くと、
「まっかせなさい!特別美味しいの和哉に食べさせたげる」
「ホント!だったらスパゲティも」
和哉の注文に亜紀は快く答える。
「いいわよ」
そう言いながら2人は近所のスーパーへ買い出しに向った。
*****
「姉ちゃん、それ違うよ!」
「何言ってんのよ!ちゃんとレシピ通りに作ってるじゃない」
ネットでハンバーグとナポリタンの作り方を検索した亜紀は、それに従って調理を進めていく。
だが、彼女はあまり調理が得意で無いのか、レシピのように上手くいかない。
見かねた和哉があれこれ手を出してくる。何とか出来上がった料理を皿に盛りながら、
「なんだか新婚夫婦みたいだね」
何気ない和哉の一言に、亜紀は熱く火照る自分を覚えた。