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冷たい情愛
【女性向け 官能小説】

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冷たい情愛11-3

前も、同じようなキスをした。
息が出来ず、苦しい快楽。

でも今は、苦しいはずなのに…温かい何かに包まれている感覚。
淫靡であるのに、それ以上に幸せでたまらない。
これほど、一日の中でいろんな感情を抱いた日があっただろうか。

唇を離すと、そこはぽっかり何かを失ったかのように思える。
唾液が唇に絡みつき、それを私は舌で軽く舐める。

「いやらしいですね」

彼はほんの少し笑った。

「そんな姿見せられたら、発情します」

「え…そんなつもりじゃ…」

私は、自分がひどくいやらしい女だと言われたようで恥ずかしくなった。

彼は自分の舌で、私の唇の唾液を拭い取った。
そのしぐさの方が、私のそれよりよほど淫靡だと言ってやりたかった。

彼は、私の服に手を掛け脱衣させようとする。
今夜はそれがひどく恥ずかしく、私は10代の少女に戻った気分になる。


「自分で脱ぎますっ。だから…後ろ向いてください」

「私に裸を見せるのが、初めてな訳じゃないし」

彼はそんなことを言う。

「そういう問題じゃないんですっ」
私はどうしていいのか分からないのだ。

彼は少しだけ笑顔になり、後ろを向いた。
私は到底大人っぽくない順序で、服と下着を脱ぎ捨てた。

しかし全裸になったとたん、やはり恥ずかしくなり脱ぎ捨てた服で裸体の前面を隠した。


「そっち、向きますよ」

彼は体の向きを変えた。
私は、膝を曲げ足を外にやり、床に座り込んでいる。
彼の顔を見ることが恥ずかしく、服で胸の膨らみを隠したまま下を向いていた。

彼は何も言ってくれない。


私は自分から全裸になったくせに、何も言ってくれない彼に腹が立った。

自分か全部脱ぐなんて、やはり変だったかな…色気なかったかな…

私は、自分から色気もなく全裸になってしまったことと、30にもなって10代の少女のように
悩む自分が、恥ずかしくなってしまった。

彼の顔を見ることが出来ない。

俯くしかない私の頭に、柔らかい感触と体温を感じた。
彼は、私の頭を撫で始めた。
その手は、柔らかい曲線の動きをしながら耳や首筋を撫で続ける。


「変わらないですね」

彼は私の耳元まで顔を寄せ、小さな声で呟く。

「触れたかった…」

そのまま耳に唇を当て、手は私の首筋と肩を優しく撫でる。
私は心地よさとくすぐったさの間の感覚にゾクゾクする。


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