発条式発情鬼-3
「やっ。あああっ。はぁあああっ」うるさく喉が鳴り、身体がくねる。
「ぼくは山下賢といいます」
また喋ったと後悔もするが、嘘は言えないたちだ。
「ま、さ、ぁっ。る、ぅうっ。ヤマシタ。あうっ、 ああっ」
声が喉から絞り出される。
「どうです。妹と仲良くしますか」
バイブを性薫水のほとばしる入り口に触れさせる。
「する、する。ぁぁぁ」切なそうな吐息が漏れる。
膝が開閉して腰も浮かせた。こんなに簡単な女も珍しい。ともあれ、依頼人の希望は叶えられた。あとは、楽しむだけだ。
ズボンを脱ぎ、途絶えた愛撫を求めて痙攣する彼女の身体へ覆い被さる。発情した女は良い顔をする。美人ならなおさら、性格が悪くても関係ない。ワカナも、潤だ目がダイヤモンドの輝きを見せる。緩ませた口元にもセンシュアルカラーの憂いが感じられた。
「依頼は、あなたがうるさく言わないようにさせてくれ、とのことでした」
耳元で囁く。うなずく彼女は、せがむように彼の腰に擦り寄る。いつも思うことだが、もっとクールに犯せないのかと。
「それで、こんなことを」
声が震えて、耳元に一筋のしずくが流れた。彼は涙に弱い。舌ですくい取る。苦く温かった。
「違います。ワカナさんが魅力的だから、玄関へ訪問したかったのです」
囁いて、耳たぶを軽く噛む。小さく呻きが聞こえた。
「ぼくを招き入れてください」
うなじに唇を這わせ、顎に進む。
「そんな。話してくれたら。家は近いし」
甘ったるい声で言う。本当に軽い女だ。プライベートではまぐあいたくないが、いまは仕事だ。
「玄関は垣根に覆われたところです」
顎から頬へ舐めるように愛撫する。
「玄関、あー」気づいたように苦笑でもした感じに見える。
筋肉を緩めた笑顔が、妹よりかわいいロリロリ、彼の好むタイプ。依頼人は、相談の報酬として玄関に招いてくれた。まさか姉も、とは思うまい。
「どうしますか。ぼくの仕事は終わりましたが、続けますか」
これでは和姦だが、彼の戦術である。
「言わせるの」女の両手が背中にあたる。
「言葉はいらないさ」
唇を合わせた。身体だけでなく、心も陵辱して完遂する。
3
性愛色に染まる女の身体。胸をなぶられて、ふたつのふくらみでは、上でホウセンカの蕾が梅色に踊る。右乳房のホウセンカみたいな先端近く、白い肌へくっきりと黒ずんだマークもつけてやった。彼女は快感に悶え、期待に震えている。
「ぼくの五本目の肢を招いてくれ」
膝を向こうへ押しやる。大腿が仰向きになり、垣根は大きく裂け、峡谷草の茂みに桜も濡れそぼる。
「ぁぁ。五肢。頂戴。ぁうう。玄関をゴシゴシして」
ただ、センシュアルクライマックスだけ求めるワカナ。
彼は脈打つ五肢で満開の桜を踏みにじり、性薫水の溢れる玄関に五肢の頭を訪問させた。緩やかだが徐々に締まりを強くしていく。
「はぁ、はぁ、ああっ」口元を大きく開けて心地好さによがる女。
搾り尽くした濃縮甘味ジュースで、彼女の顎も頬もてかる。ピストン運動を早める。ゼンマイは全開で解き放たれた。
「あうっ、ああっ、」
彼は若いころ、ウルトラパワー、と交接した女たちが言うのを知っている。いまも同じだ、三分で果てる。
悶え喘ぎ、涎まで垂らして濃縮甘味ジュースを製造する彼女に、最後の一突きは子宮まで届いて、なおねじ込む。分身が放たれる。余韻で何度か突き上げた。
五肢を引き抜く彼に、彼女の足がすがる、両手が求める。半身起こして、お願い、と叫ぶ。
「わかった。ぼくも責任感は強い」
ワカナを四つん這いにさせて、後ろから攻める。先ほどのバイブを玄関に埋め込み、バッグから強力粘着テープを取り出して、弾む白い臀部から臍あたりまで貼り付ける。気づいたかどうかわからないが、身体をくねらせ、喘ぎ続ける女。バイブは、記念に贈り物とする。