発条式発情鬼-2
「だめ。いや」必死な声だが、動き疲れたようでもある。
「なにがだめなんですか。あなたの言い分も聞きましょう」
女の口からその類の言葉を聞くのも心を浮き立たせる。
「い。ぃゃ」言いかけて止めたみたいだ。
掻き分けて指に絡めたりしながら、教えたい気にもなる。
「峡谷に生える草じゃないですか。峡谷草、違いますか」
答える女ではない。また、激しく身体を揺する。説明が足りないかもしれない。指を前進させる。
「丘なのに不思議ですか。それは、ここに続いているからです」
足の狭間へ指を伸ばす。お腹と違い、ふにゃふにゃした場所だ。
「お願い。許して」緊張した声。
「なにをですか。さてさて、ここはどこかな」
指で突っついてみる。
「ぅっ」息を呑む。
「あなたを守る。最後の。砦ですかな」
最後、を強調した。身体をこわばらせる女、早く楽にもさせたい。根は心優しい強姦魔、と自分では思う。
溝に中指を入れると腰を引く。彼に密着して、作業がしやすくなるだけだ。淵を上へたどる。彼女はなにかを堪えるように喉がひくつく。迷わず突起を探りあて、指の腹で擦る。
「はあっ」彼女の喉から、短く大きく漏れる。
伸びた背中、彼は相手の胸に左手を持って行き、固めの生地だが、大きく強く揉みまわす。
「さあ、歌え踊れ」突起の皮もひん剥き摩り続ける。
「ううんっ。ぅうっ」喘ぎを堪える。
強情な女だ。それでも湿ってきたのが、指先に感じられた。胸をかわいがるのは中断して、左手でまだ着けたままのショーッをパンストごと膝へ下げる。手を伸ばそうとする彼女だが肘を拘束されて、白い指が頼りなく自分の大腿に広がる。
「どうです。こうなれば早く楽しんだほうが得ですよ」
「いや。はあ、はあ」息も荒く、蒸気が彼女の口から出る。熱くなっている。
しゃがむと、彼女も膝が砕けるように尻を落とす。左へ仰向けにさせて、足を上げて、踵に絡んでいたスカートと膝にある布切れなどを一緒に取り去った。
「お願い。許して」
女は眉間を寄せて泣き声で言う。この顔が男を余計刺激するのだが。
「なにをですか。そうだ、さっきの続きをしましょう」
彼女の左膝を肩に乗せる。相手は顔を横に、押しつぶされるような悲鳴。最後の砦が彼の目の前に晒された。
「峡谷草の生えているところは、なんというのかな」
その溝をなぞり、突起はぎりぎりで焦らす。潤っているのは確かだし、粘っこい、ブルーチーズよりまろやかな性の薫りをさせる液体が指を濡らす。
「し、しらない。もう堪忍して」
「それじゃ、教えないとな。女の家を囲う垣根だよ。スケベなこと思ってたかな、ワカナちゃん」
垣根の裏に指を潜りこませる。熱く指に溶ける上質の柔らかい肉だ。
「ぅぅっ」小さく呻くワカナ。
「言ってご覧、垣根」縁を両手の指で円く広げながら訊く。
満開になったピンクの桜が中に見えた。
「ぃ、やっ。か、はぁ、はぁ。きね。ううっ」
いやらしくもないが、桜を愛でられて、心地好さそうな声も混ざる。
「お利口さんだな。褒美をあげよう」
かばんからバイブを取り出す。邪道だが、これから商談もある。垣根にあてがい、スイッチを押す、振動してくねる。それで桜の花をこねくる。
「ああっ。あっ、ぁあっ」快さに堪らず歌う女。
「素敵です。ぼくのお願いききますか」
ワカナは喘ぎながらうなずく。半ば開いた唇が快感に震え、白い肌もほんのり朱色を帯びる。
「もっと気持ちよくします。もう妹をいじめませんね。耳元で囁いた」
「あぅっ。あなた、はあっ、だれ。ううっ」
瞳が大きくなった。冷静になろうとしている。バイブを玄関内の突起にあてる。