華麗なる1日-6
ー翌日ー
「なあ、何か知らないか?」
昼。一巳は電話をしていた。相手は総務課の森。一巳と美香を引き逢わせた張本人。
彼女は〈う〜ん〉と唸りながら、過去を探った。
そして、
「…たぶんアレじゃないかしら?」
森は、さも言いにくそうに語る。
「アレって?」
「貴方と付き合って1周年じゃないのかな?」
「1周年!」
一巳はすっとんきょうな声を挙げた。
(…そう言えば、アイツと付き合い出したのは……)
「人によるけど、あのコならそういったイベント好きだから」
「…なるほど…」
一巳はそう言うと電話を切った。
携帯をテーブルに置いてベッドに横たわる。
(…そんなくだらない事にアイツは必死になったのか……)
そう思いながら、昨夜の事が頭をよぎる。酔っていたとはいえ、あれほどの感情の吐露……
「仕方ないか……」
一巳は再び電話を掛けた。相手は美香だ。
数回のコール音の後、電話が繋がる。
「オレだ。昨日のやり直しをやるから、6時に迎えに行く」
一方的に話すと電話を切り、すぐに馴染みの店へ予約を入れた。
「…あとはプレゼントか……」
一巳はベッドから起き上がると、部屋から出て行った。
…「華麗なる1日」 完…