投稿小説が全て無料で読める書けるPiPi's World

華麗なる1日
【コメディ 恋愛小説】

華麗なる1日の最初へ 華麗なる1日 3 華麗なる1日 5 華麗なる1日の最後へ

華麗なる1日-4

「ついで!」

シャンパンボトルを差し出す美香。一巳は仕方ないといった表情でグラスに注ぐ。

ゆらゆらと揺れる美香の身体。

(…こりゃ長引くな……)

グラスに注ぎ終わった一巳は、立ち上がる。

「何処に行くの!」

「ちょっと待ってろ」

コートと上着を脱ぎ捨て、ネクタイを緩めながら、キッチンへ向かう。

〈勝手知ったる他人の家〉

流し台の下からワイルドターキーを取り出し、ショットグラスを持って部屋へ戻った。

「さあ、聞かせてもらおうか」

手酌でターキーを注ぎ、一気にあおる。先ほどまでのかしこまった様子は無い。

(…こうなりゃオレも酔っちまおう。シラフで聞けるかってんだ!)

ショットグラスが何度も空にする。その間、美香の怒りの言葉はずっと続いていた。

「ちゃんと聞いてる!?」

「…ああ、聞いてるよ」

一巳の目は据わり、頬は赤みが差している。残った料理をツマミに、ショットグラスを傾ける。

「仕事だから仕方ないだろう」

その一言が美香の逆鱗に触れた。

「アンタ!いっーつも仕事々よね!私の誕生日だってクリスマスだって…」

一巳も反論する。

「仕方ない。仕事あってこそオマエと付き合える。主従関係を吐き違えるな…10代のガキならともかく、来年30になるような女が」

さらに、この一言が火に油を注ぐ。

「…10代の娘だったら行くわけぇ!だ、だったらそんな娘と付き合えばいいでしょ」

支離滅裂。もはや何を言ってるのかさえも分からない。

「料理作ったり、シャンパン冷やしたり。3日前から準備したんだから…」

そこまで言うと、目に涙を溜めた。

「…すまなかったな……」

(…まいったな。今度は泣き上戸かよ……)

「…き、今日の…ため…私、私がどれだけ…」

涙と鼻水でぐちゃぐちゃの顔で、詰まりながら訴える。一巳はポケットからハンカチを取り出し、そっと美香に手渡した。

「ほら…」

美香は涙と鼻水を拭うと、

「…3日前から……」

「その話は聞いたよ」

一巳はうんざりといった表情で美香を見つめる。

と、

突然、口元を押さえる美香。慌てて立ち上がるが、足元がフラついている。


華麗なる1日の最初へ 華麗なる1日 3 華麗なる1日 5 華麗なる1日の最後へ

名前変換フォーム

変換前の名前変換後の名前