夕焼けの恋愛模様-3
私は、久しぶりに屋上への階段を登る。
彼女に言われて、行かなくてはならないと感じたから。
でも、本当は私が彼に無性に会いたかったからだった。
でも、どんな風に会えばいいのだろうか。
分からない。
彼は今まで来なかったことを許してくれるだろうか。
分からない。
不安を抱え、屋上のドアの前に立った。
自分の鼓動がうるさい聞こえる。目眩のように平衡感覚が無くなっていく。私は、とても緊張を実感した。
自分に言い聞かせる。
大丈夫。
きっと大丈夫。
絶対に大丈夫。
何もかも大丈夫。
根拠のない言葉を心の中で繰り返す。
汗ばんだ手で、ドアを思いきって開けた。
そこにはいつもの屋上。夕焼けがとても眩しく感じる。
目の前には、彼がいた。
彼はとても驚いた顔をして、初めて会った時のような面白いほどの警戒をした。
私は笑えなかった。
警戒されてることが、なぜか、どうしようもなく悲しかった。
それでも私は話しかけないと、と思い
「今も、ひとりぼっち?」
変な質問が飛び出ていた。また、変な奴に見えただろう。
でも、咄嗟に出ていた。
彼は驚いた顔をしたが、徐々に笑顔になって言った。
「前は独りだったが、今はお前がいる」
私の胸は安心感と嬉しさで一杯になった。
涙が溢れた。なぜか私は泣いていた。
私が泣いたことに驚き、おろおろする彼に言う。
「…ありがとう」
私は彼に伝えた。私の気持ちすべてではなかったが伝えた。
すると、彼はまた、笑ってくれた。
それが、本当に嬉しかった。