異形なる者達-1
ー深夜ー
夜来の雨が降り注ぐ。
雨音は、強風に乗って家の屋根や窓を打ち鳴らす。
家族が寝静まる時刻。司は悶々とした気持ちのまま、今夜も眠れずにいた。
それは、雨のせいだけでは無かった。
(…また……)
静まりかえる空間。だが、司の耳にはかすかだが確かに、喘ぎ声が聞こえていた。
寝返りを打って布団を被り、耳を塞ぐ司。
〈現実を認めたくない〉
そんな心境だった。
声は隣の姉の部屋から漏れていた。
いつも優しい姉のゆかり。
〈清楚で大人しく、人への気遣いを忘れない〉
そんなイメージを持つ司にすれば、聞こえてくるゆかりの声を嘘だと思いたかった。
だが、司の身体はゆかりの悦びの声に反応し、一部は硬く、熱くなっていた。
〈…ふぅ、うんんん!!…〉
司の耳に、はっきりと届くほどの声を挙げた後、空間の静寂が戻ってきた。
司は布団の中で、昔を振り返っていた。
小学生の頃から、姉に連れられ学校に通った日々。それは、姉が中学生になっても続いた。
一緒に風呂に入り、初めて姉を通して、女性の身体と自分の身体の違いに興味を持った。
それも司が小学生までで、中学生になると羞恥心からか、お互いが離れていった。
それから3年。司の中では、その時の光景が今でも甦る。
鎖骨の深い窪み。胸元に浮かぶ肋骨の浮き出た様に、貼り付くように隆起物が主張していた。
頭を洗ってもらいながら、密かに見ていた姉の恥部。産毛さえも無いソコに、わずかに見える割れ目をジッと見つめていた。
その姉が、自分で隆起を揉みあげ、割れ目に指を這わせて悦びの声を毎夜奏でている。
(…ああ、姉さん……)
司は、今まで姉への想いを押し殺してきた。
〈決して許されざる行為だと〉
だが、その辛抱もピークに達した。
勢い良く身を起こした司。その目は血走り、一点を見据えていた。