投稿小説が全て無料で読める書けるPiPi's World

やっぱすっきゃねん!
【スポーツ その他小説】

やっぱすっきゃねん!の最初へ やっぱすっきゃねん! 120 やっぱすっきゃねん! 122 やっぱすっきゃねん!の最後へ

やっぱすっきゃねん!U…C-4

「グッ!」

鈍い音が聞こえた後、バッターが右手を抑えて倒れた。
ボールが予想以上に内に入り、打ちにいって当たったのだ。

「スイング!バッターアウト!」

主審が右手を回す。
バッターはすぐに立ち上がり、左手にバットを持ってベンチに戻るが、痛みに顔をしかめている。

「ボール交換お願いします」

山崎が主審に新球をもらい、青木に渡す。彼への配慮だろう。ぶつけた球をそのまま使うのは気分の良いモノじゃない。

「ワン・アウトォー!」

青木は、右手の人差し指を立てて後を向いた。内外野を守る仲間達も〈オオゥッ!〉と声を出し、グラブを高く上げた。

山崎は2番、3番に対しても真っ直ぐだけで勝負する。青木は意気に感じ、全力投球を続けて行く。
瀬高のバッターはボールの勢いに圧倒され、2番は三振、3番はセカンドゴロに終わった。

晴れ々とした表情でマウンドを駆け降りる青木。2ヶ月前と比べモノにならないピッチングを披露した。

それを目のあたりにしてライバル心を燃やすのは、2番手を予定されている岩田だ。
3年生の中では信也がエースで、後の青木、上野と岩田は同列と思っていた。だが、地区大会では使われる事無く悔しい思いをしていた。

「監督!準備させて下さい」

岩田は永井に直訴する。
普段の永井なら、球数と球威を見て継投準備をするのだが、岩田の必死の形相に折れた。

「いってこい!」

永井の言葉に岩田は破顔する。

「ハイッ!」

そんな岩田に声が掛かる。

「オレが相手するよ」

「信也…」

キャプテン信也が、ミットとマスクを持って岩田に近寄る。

「いつでも行けるよう準備しようぜ!」

信也の言葉に、岩田はグローブを掴むとブルペンへと走って行く。その後を信也も追った。



「ヤバいなぁ…」

スタンドから見つめる一哉が、青木のピッチングを見て声を挙げる。それを聞いた佳代は、怪訝な表情で、

「何がヤバいんです?」

「…青木のピッチングだ。…こりゃ完封も有るかもなぁ…」

「そんなにスゴいですか?」

「ああ。おそらく打てんだろう。最終回は信也だろうから、2番手の出来次第じゃあり得るな…」

問いかけに答えたところで、一哉は佳代を見た。


やっぱすっきゃねん!の最初へ やっぱすっきゃねん! 120 やっぱすっきゃねん! 122 やっぱすっきゃねん!の最後へ

名前変換フォーム

変換前の名前変換後の名前