SLOW START [-1
…いきなりこんな密着ってドキドキし過ぎて死んじゃう〜
川崎か…なんか楽しみだな。
電車に揺られながら顔が熱くなるのが分かる。
相変わらず満員でカーブに差し掛かると人の塊が一気に押してくる。
ユウキ君は腕を突っ張り私を守る。
しかし段々腕が痺れてきたらしく辛そうな顔になってくる。
「大丈夫?あたしだったら満員電車慣れてるから平気だよ。」
「ん?大丈夫だよ。」
辛いはずなのに笑顔を見せてくれている。
が、やはり限界らしく塊に潰されてしまった。
ユウキ君と私の間にあったわずかな隙間がなくなり文字通り密着してしまった。
私のおでこにユウキ君のアゴというか唇が当たる。
…はぁ!ヤバイ!ヤバイって!
…あっ意外に筋肉質…ってだから〜
私は一瞬パニックになったが一呼吸置いて落ち着こうと頑張った。
密着すると心臓の音がダイレクトに感じられてしまう。
どっどっどどっど
…ヤバイ…あたしすごい鳴ってる……ん?あたしの音じゃない…
聞こえてくる音は私ではなくユウキ君だった。
ユウキ君を見上げると視線がぶつかる。
ユウキ君は恥ずかしそうに笑う。
「ヤバイね。俺超ドキドキしてるわ〜あんま見ないで。心臓止まってくれなくなるから」
あたしは耳まで真っ赤なユウキ君の横顔から目が離せなくなった。
「ユウキ君…耳まで赤いよ?」
「え?まじ?!じゃあ見ないでよ〜」
私たちはクスクス笑い合う。
よく見るとユウキ君の瞳の色は薄い茶色をしていた。
…きれい…
ユウキ君に見惚れていると時、電車が止まりユウキ君は私の手を引きホームに降り立った。
それから目的の場所へ行きボーリングをすることにした。
運動には自信がなかったのでハンデをもらい二人で始める。
休憩を入れながら3ゲームやった。
ユウキ君はやっぱり上手だった。
隣のレーンにいた女子大生らしい人達がユウキ君を見てキャッキャしていたのでちょっと大袈裟にハイタッチをしてまたまた変な優越感だ。