biker's love☆2人の風 another side-8
「バイトの後輩でさぁ、慶くんと同じ学年で、学科も一緒のコだよ。」
彼女は、さらっと答えた。
「えっ、じゃあ、もしかしたら知ってるかもじゃん。誰ですか??」
「知ってるかなぁ。籠屋(カゴヤ)ってやつ。彼女いるしさぁ、ダメダメだよ。ずっと、好きだったんだけどねー」
籠屋…か。名前は聞いたことある気もするけど、知らないなぁ…
彼女を見やると、泣いてた。
「ごめん、泣いたりして…」
その瞬間だった。
ぐいっ。
彼女を引き寄せていた。
「辛かったんだね」
彼女を、抱きしめていた。
彼女もギュッと、抱きしめ返してくれた。
しばらくして。
桜さんが顔を上げた。
潤んだ瞳。
壊れそうな、儚い、彼女。
ちゅっ。
思わずキスをしていた。
彼女は俯いたままでいた。
どうしたらいいか、わからなくて…
「俺、帰りますね?大丈夫ですか?」
そう尋ねていた。
彼女は、コクン、と頷いた。
桜さんに見送られ、アパートを出た。
…待て。
俺、何やった??
気づいたら、キスしてた。
しかも、逃げ帰ってきたようなもんだ…
最低じゃん、俺…
何か、彼女にアクションを起こすべきだと思ったのだが、どうしたらいいかわからなかった…