biker's love☆2人の風 another side-7
「大丈夫?」
慌てて、思わず俺は桜さんの手を取っていた。
「ごめんなさい…」
彼女は困ったようにはにかんだ。
「いや、ってか、桜さんの手めっちゃ冷たいし」
「ごめん冷え症でさ。」
彼女は、手を離そうとした。
「俺の手、あったかいんで大丈夫ですよ」
そう言って、桜さんの手を、ギュッと握った。
なんか、離したくなかったから…。
「桜さんはぁ…」
何かしゃべらなきゃ、と思い、口を開いた。
「彼氏とか、いないんですか?」
何言っちゃってんだ、俺!
「ずっといないよぉ、もう2年くらいかなぁ」
彼女はポツリ、ポツリ、話し始めた。
「好きな人には、彼女いてさぁ。フラれちゃったんだよねー」
そんなの、思い出したくないだろうに。
悪いこと、聞いてしまった。
「慶くんは?いないの?」
桜さんが、聞いてきた。
ま、当然の流れか。
「いませんよぉ。」
彼女にフラれたことは、伏せておこう。
そんなこんな言ってるうちに、彼女のアパートに着いた。
玄関の前には、桜さんのバイク。
「やっぱり250の割りには大きいですよねー」
なんて、バイクの話を始してみる。
「車高を下げたいんだけどね」
まだ、もう少し、彼女といたい…。
「すいませんが、お手洗い借りてもいいですかね?」
嘘をついた。
「あ、別によいよぉ」
家に上げてもらうことになった。
「あ、なんかあったかいもの飲んでく?コーヒーでもいれるよ。インスタントだけど」
「じゃ、お言葉に甘えて」
桜さんはお湯を沸かして、コーヒーをいれてくれた。
「桜さんの好きな人ってどんな人?」
聞いてみたくなって、思い切って聞いてみた。