biker's love☆2人の風 another side-15
「あんなん言って、彼女に怒られっぞー」
冗談めかしたように、彼女は言う。
俺は息を吐き出し、はっきりと言った。
「彼女は、いません」
「ほぇ??」
彼女はびっくりしている。
「だって、彼女とヨリ戻したって…」
「戻そうと思ったんですが…完全に別れました」
そう。
そうなんだ。
昨日あの後、桜さんとメールした後、和葉に会った。
俺は和葉に言ったんだ。
「和葉より、大切な人がいるんだ」
和葉は気づいていたみたいで。
「やっぱりね」
なんて言って、俺の元を去っていった。
「な、なんで!?」
桜さんは動揺しているようだ。
「元カノより、大切な人が出来たから、です」
「そっ…か…したら、頑張らないとだね!」
自分のことだとは、露ほども思っていないようだ。
「…桜さん、ニブいです」
俺は桜さんに歩み寄った。
「俺の大切な人は、桜さんなんですけど?」
ぽかん、とした桜さん。
「えぇぇぇーっ!」
大きな声で叫ばれた。
そりゃ、驚くのは当然か。
「桜さんとご飯食べに行った後、ずっとモヤモヤしてて…」
俺は、ゆっくりと彼女に話した。
「でも、自分には彼女がいるし、って思いました。だけど、あの日…桜さんがアイツ連れてバイト先に来て…
なんか、すごく嫌で。なんでオマエが横にいるんだよ!とか思って…でも、俺はそんなこと言える立場じゃなくて…その時、気づいたんです。俺が、桜さんの隣にいたいんだって」
彼女の目を見て、言った。