biker's love☆2人の風 another side-11
「幸せに、なれよ」
彼女は力強く、言ってくれた。
「はい」
気づいたら、もう、桜さんのアパートのそばまで来ていた。
「ここでいーよ。今日はありがとー!またみんなでツーリング企画しようねー!」
「わかりました。すみません…」
「何謝ってんのさぁ、じゃ、またね」
最後まで、明るい笑顔の彼女。
でも、いつもの彼女じゃない、って思った。
助手席のドアを開いてて、彼女は去っていった。
俺は車を走らせた。
でも。
少し走らせたとこで、俺は車を停めた。
すごい、心がモヤモヤして、締め付けられる気がした。
居ても立ってもいられない気分だった。
一晩明けて。
ものすごい大雪。
ますます、彼女と会えるチャンスはなくなった。
再び付き合い始めた和葉は、前より優しくなった。
だけど。
一緒に居ても、なんか心の片隅に、置き忘れたものがある感じがした。
数日して。
今日はコンビニの夜勤のバイト。
だるいなぁ…眠いし。
そんなことを思いながらレジをしていると、カップルらしきお客さんが入ってきた。
それは、
見間違えるはずもなかった。
桜さんだった。
隣にいるのは…籠屋とかいうヤツ。
桜さんが、好きだった、と言ってた人。
仲良さそうに、買い物をしている。
桜さんは似合わないブラックコーヒーを持ってレジに来た。
そんな意外な一面を見られたことに、ドキリとする。