biker's love☆2人の風 another side-10
火曜日。
桜さんを車で迎えに行く。
今日の桜さんもかわいらしい。
ふわっとしたワンピースを着ていた。
桜さんは車も乗るらしく、自分が車を出そうと思っていたらしい。
「助手席なんてめったに乗らないから緊張しちゃうなぁ」
「そうなの?」
「男女関係なく、だいたい私が車で迎えに行っちゃうからなぁ」
そうなんだぁ。
「よく、男より男らしい、とか、男だったら彼氏にしたいとか言われるんだよー」
意外だなぁ…
最初はそう思ったのだが、端々にそれは垣間見えた。
例えばレストランに着いた時、ドアを先に開けようとしてくれたり、注文する時、ウェイターさん呼んでくれたり、注文を全部言ってくれたり、会計の伝票を先にとろうとしたり。
ま、ドアと伝票は俺が先にやらせていただきましたが。
その度に恥ずかしそうに、ありがとう、と言う彼女がかわいかった。
帰りの車の中。
「慶くんはさぁ」
彼女は、切り出した。
「ほんと、優しいよね…
私…ちょっと気になったり、しちゃってるよ…」
彼女の発言に驚いた。
でも、今の俺には、和葉がいる。
でも、できれば、言いたくない。
知られたくない。
そんな風に思ってる俺は、最低なのかもしれない。
この気持ちは彼女にキスしてしまった罪悪感からなんだ。
そう、自分に言い聞かす。
「俺、言わなきゃならないことがあるんです」
意を決した。
「何?」
「あの日…飲み会の時は、彼女いなかったんです。でも次の日に、本カノに、ヨリを戻したいって言われて…ずっと迷ってたんですけど、戻ることにしたんです。だから…」
だから…なんなんだ?
俺は、どうしたいんだ?
「そっかー!よかったじゃぁん!大切にしなよねー」
桜さんの明るい声がした。
「桜さん…」
「ほら、私寂しがり屋だからさぁ、自分の恋愛上手くいってなくて、ちょっと、慶くんの優しさに甘えたくなっちゃっただけー。今、そんな悲しくなかったもん!」
気を遣ってくれてるのだろうか。