秋と春か夏か冬 番外編12、5話〜『2つの借り』〜-5
10分後〜…。
「……あ〜もう、うるさい!わかったわよ!」
何回も呼ばないと言ったけど、秋津 恭介も全く譲らない。だから私が先に根負けした。
「頑固なヤツだな」
「…あんたもね」
そう言って笑う秋…恭介。それに釣られてか……私も笑ってしまった。
他人と話して楽しいと感じるのは初めてだった。
そして体育祭の当日。
私はなぜか恭介の家に迎えに来ていた。
『当日まで遅れたら洒落にならない』と先生に頼まれたからである。
私が玄関の呼び鈴を鳴らすと父親らしき人が出た。
気さくな人で、早朝にもかかわらず私を家に上げ、恭介の部屋を教えてくれた。
…どうやらまだ寝てるらしい。
コンコン。
私は一応ノックしてから部屋に入る。
「くぅ〜……むにゃ…」
やはり寝ている。
「ほら。起きなさいよ」
「ん〜…鈴が……どうして?…あぁ、夢か…」
また眠りについた。
私が早起きして迎えに来てるのに…。
……だんだん殺意が芽生えてきたわ…。
辺りを見回すとちょうど木刀があった。(私は剣道有段者)
私は恭介の腹めがけて一撃を振りおろす!!!
「ごはっ!!!ケホッ、ケホッ……え?え?なんだ?」
「さっさと起きなさい!」
さらに恭介の頭めがけて、渾身の一撃!
スパァァン。
間一髪で恭介は避けた。ちっ…素早いヤツ。