biker's love☆2人の風-2
「大丈夫ですか?」
突然、声をかけられた。
知らない男のコ。
ちょっと小柄で、たれ目な、優しそうな感じの男のコ。
「バイク、出せます?」
再び、彼は訊ねてきた。
「ちょっと、出せそうになくて…」
「俺、今自分の動かすんで!そしたら出しやすくなると思うし!」
そう言って、斜め後ろにあったバイクを動かしてくれた。
それは、前から私がよく駐輪場で見かけて、気になっていた、憧れの白のドラッグスター400。
こんなコが乗ってたんだぁ…
なんとか、私も、自分のバイクを動かした。
「ありがとうございます!めっちゃ助かりました!」
彼にお礼を言った。
「いーえ!どういたしまして」
彼は優しい笑顔で答えてくれた。
そして、
「見かけない新しいバイクがあったから、どんな人が乗ってるのか気になっていたんですよね!しかも、街で走ってるとこ見たことあるんですけど、女のコが乗ってるんだ!って思って、どんな女のコだろう、って」
彼は、続けて言った。
「こんなかわいい女のコが乗ってるんだ、って思って」
えっ…かわいいとか言ってくれちゃってる!
「見られてたんだぁ!運転まだ下手だから恥ずかしいです…しかもチビだし、かわいくないっすよぉ!あっ!私もそのドラッグスターかっこいいから、どんな人が乗ってるか、気になっていたんですよ」
恥ずかしくて、早口でまくしたててしまった。
「本当ですかぁ?嬉しいです。マフラー変えてあるから、うるさいバイクなんですけどねー」
「確かに…めっちゃうるさいっすよね。授業中とかでも、音めっちゃ聞こえるし」
「まじっすかぁ?やばいかなぁ…」
なんか、楽しい。
バイクを通じて、全然知らない人とお話できちゃったぁ。
ふと、時計に目がいった。
あ、時間やばい!