biker's love☆2人の風-17
「したら、頑張らないとだね!」
私は、応援の言葉をかけるしかないから。
「…桜さん、ニブいです」
慶くんは、そう言って、私に歩み寄った。
「俺の大切な人は、桜さんなんですけど?」
…
………っ!
「えぇぇぇーっ!」
思わず、叫んでしまった。
「桜さんとご飯食べに行った後、ずっとモヤモヤしてて…」
小さいけど、しっかりした声で、慶くんは話し始めた。
「でも、自分には彼女がいるし、って思いました。だけど、あの日…桜さんがアイツ連れてバイト先に来て…
なんか、すごく嫌で。なんでオマエが横にいるんだよ!とか思って…でも、俺はそんなこと言える立場じゃなくて…その時、気づいたんです。俺が、桜さんの隣にいたいんだって」
アイツとは、おそらく籠屋のことだろう。
一息ついて、彼は私の目を見て、言った。
「俺は三塚桜のことが、好きです。
俺と付き合ってもらえませんか?」
「慶くん…」
「って、泣かないでくださいよぉ」
気づいたら泣いてた。
最近の私は泣き虫だ。
でも、今までと違うのは、これが、嬉し涙だってこと。
「だって、嬉しくて…」
「まったくー」
優しく、私の涙をぬぐってくれた。
「で、返事を聞かせてもらいたいんですけど?」
そんなの決まってる。
「はい、よろしくお願いします!」
私は、はっきりと、答えた。
「それに…」
慶くんは続けた。
「桜さんの横を俺が一緒に走らなきゃ、心配でいられませんから」
えっ…?
「どういうことだよっ!」
「だって、運転まじ危ないし、ヨタヨタしてるし…心配で見てられませんでしたよ」
「………っ!」
「だから、なおさら俺が一緒にいなきゃでしょ?」
ニコニコと笑ってる慶くん。
悔しいけど…
「一緒にいてくれなきゃ、困るからね!」
嬉しくて、幸せだ。
「そしたら、帰りもヨタヨタ帰りましょうか」
「ヨタヨタ言うな!」
そんな2人の風は、今吹き始めたばかり…