biker's love☆2人の風-16
そして、湖畔に着いた。
バイクを停めて、湖畔に降り立つ。
「やっぱ、気持ちいいねー」
前を歩いてた私は、振り向いて、慶くんにそう言う。
「そうですね」
慶くんの、柔らかい笑顔を見て、少し安心した。
「あ、私、デジカメ持ってるかも!」
カバンをあさってみると、カメラが出てきた。
「写真撮ろうよ!初ツーリング記念!」
バイクの前に立って、互いに写真を取り合った。
「一緒に撮りたいですね」
慶くんがそう言ってくれた。
ちょうど、通りかかった、年配の夫婦に写真をお願いした。
「じゃあ撮りますよー!はいチーズ!」
カシャ。
「「ありがとうございます」」
2人の挨拶が思わず重なる。
顔を見合わせて、笑った。
「2人でツーリングなんて素敵なカップルだね」
写真を撮ってくれた男性が、そう言った。
カップルかぁ…。
まぁ、違いますがね。否定しとかないと。
「それがちが…」
「そうですかぁ?ありがとうございます。」
えっ…?
なんで否定しないの…?
にこやかな笑顔を残して、夫婦は去っていった。
説明するのが、面倒だったのかな?
「あんなん言って、彼女に怒られっぞー」
冗談めかして、言う。
慶くんは、ひとつ、ため息を吐き出し、はっきりと言った。
「彼女は、いません」
「ほぇ??」
思わず、我ながらマヌケな声を出してしまった。
改めて、口を開く。
「だって、彼女とヨリ戻したって…」
「戻そうと思ったんですが…完全に別れました」
「な、なんで!?」
「元カノより、大切な人が出来たから、です」
「そっ…か…」
大切な人、か…。
それは仕方ないよな…。