biker's love☆2人の風-15
「しっかりつかまってくださいよ」
「あ、うん…」
どうしょう、と思ったけど、彼の体にぎゅっと抱きついた。
心臓の音、聞こえそうだよ…
「じゃあ、行きますね」
バイクは、走り始めた。
今日は、すごくいい天気で、絶好のバイク日和。
近くには、気になってる人。
気持ちいい、風。
バイクのエンジン音。
すごく、幸せな気分だった。
そんな時間は一瞬で。
あっという間に、バイク屋さんに着いた。
車高の下がった愛車とご対面。
足が付く!
うん、いい感じ。
「どうですか?」
慶くんが聞いてきた。
「うん!いい感じ!」
いい笑顔で答えられただろう。
「そうしたら、せっかく天気もいいし、どっか走りにでも行きますか?」
えっ…。
一緒に走りに行ってくれるのかな??
「一緒行ってくれるのー?」
「もちろん!湖畔の方でも行きます?」
「行くっ!」
寒いし、雪も残ってて、ちょっと怖いけど、即決した。
実は、ほとんど、1人でしか走ったことのない私。
だけど、慶くんが気を使って走ってくれたので、すごく走りやすい。
すごく楽しくて、気持ちよくて。
幸せだなぁ、なんて思った。
一瞬の、幻だってわかってる。
でも、今だけでいいから。
一緒に風にならせて。
この幸せに浸らせて。