biker's love☆2人の風-11
火曜日。
今日も、気合いを入れて、ワンピースなんか着ちゃってる。
なんか、変だ。
慶くんは車にも乗るらしく、迎えに来てくれた。
あ、この車、学校の駐車場で見たことある。
宮城ナンバーの黒いcivic。
ちょっと古い型なんだけど、それがまたよくて、駐車場で私が目をつけてたやつだった。
私はバイクだけじゃなくて、車も好きだ。自身もcervoに乗ってるので、駐車場に停まってる車をよくチェックしている。
「こんばんはぁ」
慶くんがそう言って、車のドアを開けてくれた。
その行為が、私がいつも女のコを車で迎えに行った時にするのと一緒で、なんだか、嬉しかった。
私を、女のコ扱いしてくれる人なんて、ほんといなくて。
男女関係なく、私が車で迎えに行ったり、お店に行ったら、ドアを開けてあげたり、会計の時、先に伝票を取ったり。
私は、そういうことをしてしまう人で。
『男らしい』とか言われてしまう。
でも、今日は、慶くんが全部してくれたのでした。
なんか、調子くるう。
でも、やっぱ、ちょっと、嬉しかったりする。
前から気になっていた、ちょっと離れたとこにあるレストランでご飯を食べて。
帰り道のドライブ。
自分で運転してばっかりだから、乗り慣れない助手席に緊張。
口から生まれてきた、とか言われるくらいおしゃべりな私なのに、上手く話せない。
でも、訊かないと。
「慶くんはさぁ」
私は、切り出した。
「ほんと、優しいよね」
ちゃんと、言わなきゃ。
「私…ちょっと気になったり、しちゃってるよ…」
そうなんだ。
たぶん、前から。
慶くんのこと、気になったり、しちゃってるのだ。
「桜さん…」
彼は言った。
「俺、言わなきゃならないことがあるんです」
「何?」
「あの日…飲み会の時は、彼女いなかったんです。でも次の日に、本カノに、ヨリを戻したいって言われて…ずっと迷ってたんですけど、戻ることにしたんです。だから…」
もうそれ以上、言わなくていい。