僕らの日々は。〜甘い、甘い?〜-5
「なぁ、母さん」
「あら春風。どうしたの?一葉ちゃんからチョコ…………その顔だと貰えたみたいね?」
「……………」
やっぱり知ってたか。
……というかそんなに顔に出やすいのだろうか、僕。
「今朝あんたが出てってから一葉ちゃんが来て置いてったのよ。『貰えないと思わせて一度がっかりさせてからあげれば、嬉しさ二倍増し作戦』らしいわよ?」
「…………」
「うふふ。あんたが帰って来たときの顔と今の顔とを比べると、作戦大成功ってトコかしら?」
………まったく。
そういう事なら確かに、僕は見事に作戦に嵌まってしまったらしい。
二倍どころか、三倍増しと言っていいくらいだ。
「ちゃんとお礼言っときなさいよ〜?」
「分かってるって!」
そう言ってまた自分の部屋へ戻った。
早速包みを開けてみる。
中にはトリュフ状のチョコが、三つ。
「おぉ。………ん?」
……と一緒に、メッセージカードが入っていた。
開いてみる。
『普通にあげるってのも何だか物足りなかったので、三個のうち一つだけ、めちゃくちゃ酸っぱいの入れてるから。心して食べるように! 一葉』
……まったく。
「ホント、一葉らしいや」
思わず、苦笑する僕だった。
☆☆☆☆☆
……ちなみに。
「……うぉっ!酸っぱ!」
一個目からいきなり当たりを引きました。
ハンパなく酸っぱかった。
こういう事にも容赦ないのも含めて、一葉らしい……………か?
『甘い、甘い?』 完