やっぱすっきゃねん!U…B-6
「土、日の練習で昼休みを無くしてもらえませんか?」
「昼休みを?」
怪訝な表情で聞き入る永井。
「1時間身体を休ませると、筋肉の温度が下がってしまい、身体が硬くなります。
また、食事によって血液は内蔵に集中して、筋肉へ流れる量が減ってしまうんです。昼休みを終えて再び練習出来る身体に戻るには、普通なら1時間は掛るんです」
永井は一哉の一言、々に頷きつつ、
「…お話はもっともですが…しかし、部員達を夕方までぶっ通しで練習させる訳には……」
永井の意見に対して、一哉は首を振りながら、
「次回から弁当を止め、バナナを持って来させます。1時間毎の休憩中にそれを摂らせ、練習を3時ぐらいに終わらせます。4〜5本もあれば足りるでしょう」
「バナナ……ですか?」
「エエ、バナナは消化も良いですし、瞬発系スポーツに必要な糖質やタンパク質、カリウムやクエン酸が含まれてます」
「なるほど…分かりました。明日のミーティングで話しておきましょう」
永井の承諾を得られ、一哉は頭を下げて話を続ける。
「もうひとつは、月曜日の朝練を無くしてもらえませんか?」
一哉の提案に永井はびっくりした。
「…理由を教えて下さい」
「結論から言えば部員達の身体を休めるためです」
「休ませるため?」
永井の言葉に一哉は大きく頷き、
「実は土、日の練習を見たところ、今までの練習量と差がありすぎて彼等は疲れ切ってるようです。平日の練習量も増えたわけですから、身体が持たないでしょう。
そこで、月曜日の朝練を無くせば、日曜の夕方から24時間は身体を休ませられる。少しは楽になると思うんですよ」
「…なるほど……」
永井は感嘆の声を挙げる。一哉は練習量だけでなく、部員達の身体の変化も見ていたのだ。
だが、ある疑問が永井に浮かぶ。
「…休ませるのは構いませんが、そうすると練習スケジュールに支障をきたすのでは?」
一哉は、永井の問いかけに笑顔を見せると、
「一時的な措置です。2ヶ月もすれば身体が慣れますよ。ただ、1年生は半年位は掛かるでしょうがね」
「分かりました。今週は変則ですが、明後日の朝練は休ませましょう」
そこまで言って、永井の顔が急に曇った。