冷たい情愛9(過去)修正版-14
私は、山本先生の隣で泣きじゃくった。
彼が愛してくれたこの場所で…
彼と出会えたこの学び舎で…
12年分、泣いた。
貴方に会いたいと…
あの頃の貴方に会って…
「先生を愛しています」と…
幼なすぎて言えなかった「愛してる」という言葉を…
貴方は冷たくなんて無かった…
貴方は優しい人だった…
二度と会えない…
私が、愛した人だった。
校庭のグラウンドは、日差しが優しく注いでいた。
私の頭には…
その愛した人ではなく…
その愛を黙って見守っていてくれた…
同じく優しい…かつての恩師の温かい手があった。
・・・・・・・・・・・
一人で歩くと山本先生に伝え、私は校舎を回り始めた。
そういえば…遠藤さんは大丈夫だろうか…。
普段私と同じで仕事に追われ、疲れているだろうに…。
のんびり散歩を楽しんでいるのだろうか。
私は、過去に引き戻された時間から…
ふと現実に戻った。
・・・・・・・・・・
山本は、学校の敷地をのんびり歩いた。
裏手の土手には、一人の若い男が寝そべっている。
不審者ではないか…
教員らしい疑いから、彼はフェンスの扉を開け、土手へと向かった。
そこには…見覚えがある懐かしい顔がいた。
「山本先生…」
「おお…どうした!?久しぶりじゃないか」
「ご無沙汰しております」
「いやあ…今日な懐かしい顔によく会うなあ」 山本は笑いかけた。