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冷たい情愛
【女性向け 官能小説】

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冷たい情愛9(過去)修正版-12

本当は、その男が「あわよくば、将来娘婿として自分の後を継がせる」と考えたらしい。


その話がきっかけとなり、神崎とその娘は付き合い始めた。

彼は、その大人の企みに気づいてはいたが…
金さえあれば…母親も楽になり…自分も大学に進学できる…
と簡単に考えたのかもしれない。

女の父親も、娘を都内の女子大に進学させて…
変な男とくっつかれるより、有望株に唾をつけておけば…と考えた。
地元で貧しく暮らしていくしかない彼の両親を、人質にしているようなものであったし…。



神崎ははもしかしたら…
金を返せば、その時、その娘は捨ててもかまわない…
そう考えたのかもしれない。

しかし、私には少しだけ分かる。


金を返したからといって、その男の娘を捨てようがものなら…
彼の両親はその村で暮らしていけない…


閉鎖的な土地柄では、致命的な行為だろう。


そして…彼は都心の大学へ。
男の娘は、女子大へ進学した。

男の娘は…彼が他の女に行かぬよう、常に監視している女だったそうだ。
彼は面倒には感じたが、金の心配をせずに勉学できる環境に、それなりに満足していた。



そして彼は、教師になった。
本当は一年間という約束だったらしい。


しかし…

私に言ったとおり彼は、私が卒業する三年間、教師でい続けた。
私が彼のマンションに行くことが出来たのも…
彼が、女を先に田舎に帰したからだろう。
花嫁修業して待っていてくれとでも言ったのだろうか…。


神崎は、山本先生にいつも話していたそうだ。


私との、楽しい日々を…。


「あいつは、お前の事が本当に好きだったんだなあ…」

山本先生は、遠い目をして言った。


「先生…何故そんなことを、私に話したんですか?」

私は静かに答えた。


「神崎の名を出した時、お前が(若い頃の思い出)という風な顔をしたら、それ以上話すつもりはなかったんだ…」

私は、山本先生の言葉を、一語一句聞き逃さぬよう、集中した。


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