冷たい情愛9(過去)修正版-11
「先生のそれ…舐めたい…」
先生は驚いたようだった。
「何言ってるんだお前…」
苦笑いしている。
彼のその顔は、とても可愛かった。
いつもは教師としての顔を作っているが、こういう時は素の彼を見れたようで嬉しくなるのだ。
私は少しだけ上体を起こし、自分の大腿に出された白い粘液を指に絡めて舐めてみたのだ。
「おっおい!?」
彼は慌てていた。
「…なんか、苦い…」
私は本当にそう思った。
大好きな彼が出したものだけれど…とても美味しいとは表現できないものだ。
「当たり前だろ、バカだなあ」
先生は笑っていた。
つられて私も笑ってしまった。
行為の時、先生を怖く感じるが…
でも、時々優しく…最後は、こうやって笑い合っている。
初めての時は怖かった。
でも…先生が好きだったから…それに応えたかった。
そして、応えているうちに…私も先生の身体が欲しくて溜まらなくなったのだ。
大好きだった。
授業中、真面目な顔で教壇にたつ顔も…
学校といういけない場所で私と交わる時の顔も…
私服姿で、にこやかな笑顔でいる時も…
どんな姿の彼も…私は大好きだった。
私の全てだった。
先生は…私の全てだった。
・・・・・・・・・
「…神崎のこと、本気だったか?」
山本先生が呟いた。
「え…?」
山本先生は、私と神崎の関係を知っていたのだ。
教師とはいっても20代前半の若い男同士。
恋愛の話もしたのだろう。
私は12年たった今、初めて真実を知った。
父親は彼が高校時代に病んで臥せてしまった。
三人の子どもを抱え、母親は必死に働いた。
しかし彼らを大学にやるなど、到底無理な経済状況だった。
神崎は当時から相当優秀だったらしく、高校の担任は、大学進学できない
彼の家庭事情を嘆いたらしい。
そんな中…
彼に、学資と上京するための援助をしようと申し出る男がいた。
娘が神崎と同級という事もあり、彼の親に親切に申し出たのだ。