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ヒトナツ
【コメディ 恋愛小説】

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ヒトナツC-1

眠れなかった。

わたしは結局、あの女性の正体を突き止められずにいた。

無理だよ。

わたしは健吾さんに嫌われたくない。

健吾さんのことしか考えられない。



第四話
ホームアンドホーム



「健吾!」
「…あー?」
あれからほぼ毎日、俺は渚に叩き起こされ、あっちこっちに引き連れ回される。
「あら、起きてたの」
「毎日お前に起こされてたら、さすがに体が覚えるわ」

あーあ、エアコンが効いてんのに出なきゃならんのか。

「違うわよ」
「ん?」
なに、今日は外出しないのか。

「今日はあたしとエッチなこと…するの」

「……はい?」

渚は顔を真っ赤にしながらジリジリ寄ってくる。
「待て!待て渚!」
「健吾……」
「ちょっ!おいっ!ああああああ!!」





「はぁっ、はぁっ」
ん、カーテンの向こうが薄暗い。
ちゅんちゅんスズメが鳴いている。
うわ、すんげえ汗。

「……めちゃくちゃ恥ずかしい夢見ちゃったじゃねーか!」

いかん、最近、渚に構ってやりすぎだ。
俺には大切な大切な彼女がいるのに。

「よっし、今日はデートだ」
少々急だが、桜にメールだ。
って、今はまだ六時前、あとにしよ。
もう少し寝る。





「あああああ!」
しまった。寝過ぎた。もう昼間じゃんか!

なーんか最近の俺、おかしいな。
冷静にシャワーを浴びながら考える。

そりゃあ渚は綺麗だけど。
俺は桜を愛してんだよ、うん。ヘタレなりに。

なんか最近、等式が狂ってんだよ。

渚=桜

じゃなくて。

渚<桜

こうでないと。よし。

って、なんだか同じことばっか言ってねーか?俺。
顔をバチっとはたいて部屋に戻る。
電話だ電話。この方が早い。


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