秋と春か夏か冬 12話〜『サヨウナラ』〜-8
「ん…?」
恭介は起きる…。
「あっ、恭介…目ぇ醒めた?僕だよ。わかる?」
ボヤけた視界が鮮明になってくる……夏輝?
「…夏輝」
「うん。大丈夫?なんか変な夢見てた?うなされてたけど……」
今までのは…そうか、昔の夢を見ていたのか。
「…夢……か。ってことは今はロン毛…もとい、拓也とバスケ勝負した後に保健室で寝て…その目覚めた時ってことか。なんかずいぶん過去の夢を見てた気がする……話数にして7話くらいあったか…」
「なんの話?もしかして…うなされておかしくなっちゃった?」
心配そうに恭介の顔を覘きこむ夏輝。
「いや…なんでもない。展開についていけない読者に簡単に説明しただけだ」
「なんかわからないけど…本当に大丈夫?」
「あぁ…なんか寝たらスッキリしたよ」
「…良かったぁ〜♪心配だったんだよ〜」
そう言って抱きついてくる夏輝…なんだか久しぶりだ……って思ってる場合じゃなく。
「馬鹿!抱きつくな。しかもこんな場所で!」
「え〜!なんか問題あるの?ここ暖かくて気持ち良いじゃん♪」
恭介はベッドを指しているが、夏輝は保健室全体を指している。
「…良いから離れろ!」
そう言って夏輝の肩を掴み強引に離そうとした時………。
「うわっ」
勢い余って夏輝を押し倒した形になってしまった。
…そして偶然は重なるものである。
シャー。
ベッドを囲むカーテンが開く。
「夏輝さん。恭介は起きました……か…?」
………沈黙………………………………。
そして沈黙を破るのは、やはり後から来た鈴音。
「理緒くん固まっちゃってどうしたの…………あら?……なんか前にもあった気が……でもさすがに学校で不潔なことはやめてくれないかしら?そもそも…」
嫌な予感…
「そ、そもそも?…てか誤解だぞ?落ち着け…」
無駄だと思うが一応言っておく。
「あんたが保健室に運ばれたって言うから心配して来たのに……………このド変態が〜〜〜!!!」
ドコから出したかわからない木刀で、恭介を叩き始める。
「○▲★□◆☆※!!」
音声化出来ないような声が出たそうな…。